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アブラハム・グループHD「高岡壮一郎」とは何者か?(THE 21 2013年7月号)

PHP研究所のビジネスマン向け雑誌「THE 21」に掲載の記事。インタビューに基づき起業の経緯などが掲載されています。それにしても、何者か?というタイトル・・・。

『われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか』(D'ou venons-nous ? Que sommes-nous ? Ou allons-nous ? ポール・ゴーギャン フランスの画家)にちなんでくださったのでしょうか。

「いつかはゆかし」は革新的だと注目を頂いていますが、実は創業以来の事業の連続性の中から「いつかはゆかし」が誕生していて、そういう流れも記事では分かりやすく書いて頂いています。

アブラハム・プライベートバンクも投資助言契約の実績が700億円を突破するなど、おかげさまで個人投資家の支持を受け急成長している過程にあるわけですが、会社を興してはや8年。

自分の肌感覚としては、手元には「ノートPC」と「ガラケー」と「気力と体力」。その3つだけを武器にワンルームマンションの一室で熱気で窒息しそうになりながら、リアルに1日24時間近く仕事をしていたのが、わずか数日前のことのような感覚があります。

起業した後、結婚するまでテレビも持っていなくて(見る暇ない)、冷蔵庫もなく(食べる暇ない)、私服もなく(遊ぶ気がない)、今でも銀座のクラブに行ったことも無い(一度は行ってみたい)という。

世間が期待しているかもしれない「華麗なる30代ベンチャー経営者」のイメージと程遠い、「1月の受験生」の生活スタイルではありますが、事を成すために仲間と仕事をするのが毎日楽しいです。



(追記) 雑誌の書店での販売が終わりましたので、全文を記載します。

気になる経営トップとの60分
金融界に新風を巻き起こす団塊Jr社長の狎つ召轡咼献優肱性


アブラハム・グループHD「高岡壮一郎」とは何者か?

エリートコースを捨てて、立ち上げたのは「『個人』に向き合ったビジネス」だった。金融資産1億円以上の富裕層を対象にする投資情報サービスの提供や、インターネット上の交流スペースの開設を手始めに、昨年11月に「将来の生活資金に不安」を抱える人を対象にする海外積立投資支援サービス「いつかはゆかし」を始めた。アブラハム・グループ・ホールディングスの高岡壮一郎氏から目が離せない。

大きな組織では身動きがとれない

「私たちは、個人の意思決定をサポートする金融情報サービス業」と、高岡壮一郎氏(38歳)は言う。

アブラハム・グループ・ホールディングスの起業は、2005年。きっかけは、これからは「個人」を相手にしなければビジネスの成長はむずかしい、と気づいたことだ。

それは誰もがうらやむエリートコースを歩んでいるときだった。東京大学を卒業後、1999年に三井物産(株)に入社。海外の事業投資を審査する部署に配属となり、エネルギーや農業などの分野で世界規模のビジネスを狢隆境瓩垢襦

仕事にやりがいは感じていたが、新たに世界をけん引するビジネスの存在が、高岡氏の心をとらえる。インターネットにおける情報産業だ。ネットを舞台にしたビジネスの潮流は無視できなかった。

高岡氏は情報産業の部署に異動する。だが、その直後にネットバブルが崩壊。業界不況のなか、新規事業を立ち上げる仕事に携わり、ベンチャー企業への投資業務などに従事した。この経験は、起業への意識を高めることになった。

総合商社は重厚長大型のビジネスであり、成長中のネットビジネスと大きく異なる。とりわけ爛咼献優垢料蠎雖瓩まったく違う。ネットの世界における取引先は「個人」だ。BtoCである。消費者のニーズをいかに早くつかむかが、ビジネスの成功を左右するのだ。

となると、大きな組織は動きづらい。高岡氏は退職を決意した。

「個人のエージェントになりたい」と、起業に踏み切った。「たった数名で、マンションの一室からのスタートでしたが、負ける気はしませんでした。IT時代とは、個人が有益な情報を必要とする時代です。ITの世界で生まれた新しいユーザーである彼らの消費や投資を活性しようと考えました」

真新しい会社の名前は、米国の心理学者アブラハム・マズローに由来する。マズローは人間の欲求を階層化したことで知られる。高岡氏は言う。

「人間は自己実現、つまり『自分らしくありたい』と思うからこそ、成長するのだと思います。自己を高めるための努力を惜しまない人たちが楽しめる社会づくりの一助になりたいのです」

世界金融危機を乗り切った実績


アブラハム・グループ・ホールディングスは、富裕層向け投資情報サービスの提供や、富裕層向け商品を提供する企業に対するコンサルティングを行っている。06年には「YUCASEE(ゆかし)」という金融資産1億円以上の富裕層のためのSNS(ソーシャル・ネット・ワーキング)を開設した。

「富裕層の人たちは、同レベルの資産状況の人と、安心していろいろな相談や情報交換がしたい、と思っているのです」(高岡氏)。事業をスタートしてすぐに火がついた。わずか3年あまりで会員数は数千人に膨れ上がり、会員の金融資産の総額は1兆円に達した。

07年には、グループ会社のアブラハム・プライベートバンクが金融商品取引業(投資助言・代理業)登録を果たす。独立系としては日本初の「富裕層向け投資助言会社」として、08年から海外直接投資のサポートを始めた。

その後、世界的な金融危機、いわゆるリーマン・ショックが起こった。しかし、これが逆に追い風となった。危機を乗り越えたヘッジファンドに投資したいという個人投資家が増えたことで、アブラハム・プライベートバンクの会員数が急拡大したのである。金融庁登録から5年余りで、投資助言契約額が517億円を超えた(12年12月末)。

ただ、ゆかしの会員は、相続で受け継いだのではなく、自分の能力と努力によって財産を形成した人たちだ。金融知識の水準は高い。それぞれの投資哲学を持っている。

「今の時代、富裕層ではない普通の人たちこそ、資産形成をするべきではないか」。そんな思いが高岡氏の胸にこみ上げた。

ゆとりある老後の必要生活費は1億円

ここまで高岡氏の創業物語を読んでも、「私は、富裕層ではない」とため息をつく人が多いのではないだろうか。いまは、公的年金に対する不安や企業年金問題など、老後の生活に不安を抱く人も少なくない。若い人のなかには、「金融や投資はむずかしい」と資産形成を諦めてしまう向きもあるかもしれない。

「将来の不安を解消してもらうために、三十、四十代にノウハウを提供したい」という高岡氏の思いを受け、アブラハム・プライベートバンクは昨年11月、海外積立投資支援サービス「いつかはゆかし」を始めた。「1億円は貯められる。月5万円の積み立て」がキャッチフレーズだ。30年で1億円の犲分年金瓩鬚弔るという。

1億円を目標にする理由は、公益財団法人・生命保険文化センターの調査に基づく。夫婦二人が「ゆとりある老後生活」(月額36万6000円)を25年送るために必要とされるのが1億円強だからだ。

「月5万円の積立を30年で1億円」をめざすには、一般論として、年利10%以上で複利運用する必要がある。「そんな高利回りの商品があるわけない」と思うのも無理はない。「世界屈指の金融商品にアクセスできる」ことが、アブラハム・グループの比類なき強みだと言える。高岡氏は言う。

「日本人は、収益性の低い金融商品に慣れてしまっています。日本で売られている金融商品は、世界で流通している金融商品のわずか3%にすぎません。大切なお金を運用するファンド・マネージャーも自分で選ぶことはできません。97%の金融商品の存在を知らずに投資判断をするのはナンセンスです」

入会金は1万9800円。投資家から資金を預からず、アドバイス(助言)の提供を専門とする投資助言会社アブラハム・プライベートバンクは「金融商品のセールス」ではないので、国内販売会社で金融商品を買うときのような販売手数料などは一切かからない。顧客に合った金融商品を推奨して、毎年、助言手数料として契約残高の0.945%を徴収する仕組みである。

ニッポンを金融立国へと導くことが、「高岡壮一郎」の目標である。
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