銀行の利益が6割減、フィンテックがもたらす破壊的影響(野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて)2015年11月5日

Fintechの金融業界Disruptionの本質は、オンライン化・IT化により業務コストが下がり、従来では大手金融機関が介在していていた金融取引から、既存プレイヤーたちが「中抜き」されていく、不可逆的な社会現象である。

2015年に資金調達をした国内の資産運用系Fintechスタートアップは全4社で、それぞれがDisruptionしているものは以下の通り。

■「銀行」を中抜きして、「借手」と貸手(投資家)がダイレクトにつながる

‐国内:クラウドクレジット(累計契約額2億円
-米Fintech企業:Lending Club (金融行政の登録上の問題で業務停止になりながらも時価総額1兆円級でIPO)

■「販売会社」を中抜きして、「従来の機関投資家向け投資対象(ヘッジファンド)と個人投資家がダイレクトにつながる

-国内:アブラハム・グループ・ホールディングス(累計契約額 877.4億円
-米Fintech企業:HedgeCoVest (Benzigna most disruptive award2015)

■「営業マン」を中抜きして、「ポートフォリオ」と個人投資家がダイレクトにつながる

-国内:お金のデザイン 累計契約額:18億円
    ウェルスナビ  累計契約額:0円(開始前)
-米Fintech企業:wealthfront

*数値は2015年11月現在
*2015年に資金調達をした金融商品取引業登録を保有するFintechのみ抜粋(ウェルスナビは登録申請中)
*アブラハム契約額は投資実行時・円換算、長期積立投資の場合は総積立期間の投資累計額

テクノロジーの進化と、個人投資家のリテラシーの向上により、サプライサイドからデマンドサイドにパワーがシフトすることで、従来は大企業が得ていた「利益」を実際にリスクを取っている個人投資家本人が「取り戻す」ムーブメントでもある。

米国CNBC未来を創るスタートアップ50社のうち(most distructive 50)、12社がFintech(フィンテック)関連スタートアップで、そのうち4社が資産相談サービス領域のスタートアップであり、この領域は今後とも活性化していくだろう。

ピータードラッカーが2000年初頭にいわく、日本の金融業界は1950年代レベルとのことだが、フィンテック・ムーブメントが到来した2015年を境にして、一気に日本の金融業界の進化が進む可能性がある。

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