経済界雑誌

高分配型投信の9割が赤字

自分で資産運用をする暇が無い人は、専門家が運用をしてくれる投資信託を購入することで、資産運用をプロにアウトソースしている。個人投資家がファンドを選ぶ基準は「高い利回り」だ。そこで、日本の個人投資家は、高分配型投信に群がっている。

しかし、人気の高分配型投信100本で、「真のプラスのリターン」が出ているのは7本のみ。実に9割が赤字である(2016年1月末時点 ダイヤモンドザイ調べ)。

どういうことか?実は個人投資家は分配金という「見せかけの高利回り」に誘導されているのだ。分配型投信に投資して高分配金が出ていても、それは元本を取り崩しているだけの場合がある。本当の利回りは、1年間の分配金合計額から基準価格が下落した部分を差し引いた正味の分配金を1年前の基準価額で割って算出する必要がある。

ところが個人投資家は、金利と分配金の区別がつかないため、見た目の高分配金にひかれ、質の悪い投資信託を購入しているわけだ

投資家サイドの投資助言会社の社長として

本稿を続けるにあたり、まずは私の立場を明らかにしておこう。

私はヘッジファンドダイレクト株式会社(関東財務局(金商)第532号)を経営している。ヘッジファンドダイレクトは海外投資を専門としている個人投資家向け投資助言会社で国内No.1の実績がある。国内外の10万本の投資信託(ファンド)から投資家にとってベストな投資対象を助言しており、その助言に対する対価を投資家からのみ得ている。いかなるファンド運用会社、ファンドの販売会社(証券会社)等から広告料・販売手数料等を受領していない。完全ならバイサイド(投資家側)の立場である。

つまり、銀行や証券会社のように、販売手数料目的で、金融機関に有利な商品を宣伝するインセンティブは私には一切ない。あくまで、投資家が儲かることを第一優先として、個人投資家のリテラシーが高まることで、投資によって利益を得れる人が1人でも増えることを目指している。

日本の金融リテラシーは世界38位

さて、高分配型投信の話に戻ろう。

日経新聞等の報道で「高分配型投信はタコ足であるから要注意、税務的にも不利」と言う記事が頻繁に出る。

従い、高分配型投信を購入するのは、大手証券マンに強引に、もしくは義理人情でそそのかされた高齢者というイメージがあるが実際は異なる。

大手オンライン証券会社での売れ筋ランキング(上位1位〜5位)の大半も、これまた高分配型投信なのである。

実は、分配型投信の購入者の実に8割が、分配金を払った分だけ基準価格が下がる事実を知らないとされる(日経ヴェリタス)。

日本の個人投資家の金融リテラシーは、G7の中で第6位、世界で38位(S&Pグローバル・フィナンシャル・リテラシー調べ)。従い、日本の個人投資家は非合理的な投資行動、つまり損をする可能性が高い行動を取る。その一例が、高分配型投信の購入への偏りということだ。

つまり、個人投資家は大手証券会社に騙されているのではなく、知識が無いが故に、本当に自発的に高分配型投信が良いと思って買っているのである。これは世界に類を見ないおぞましい事態といえる。

遅れた日本のリテール金融業界

個人投資家のリテラシーが低いだけではない。金融商品の供給者側にも問題がある。

金融商品というのはデータが大事で、良い金融商品かどうかの判断には10年以上の運用実績が必要だ。

それでは、過去10年間で年利10%以上の実績を出したファンドは日本に何本あるのだろうか?答えはゼロ本だ(モーニングスター調べ 2016年2月 SMA/DCを除く全ファンド対象)。

実に、日本の投信業界は、25カ国中、下から2番目で、南アフリカ以下だ((グローバル・ファンド・インベスター・エクスペリエンス(GFIE)2015年)。いまどき、南アフリカ以下の産業が日本に存在していること自体が驚きだが、この原因の1つは、市場を大手証券会社がほぼ寡占していることから、受益者(投資家)にとって不利な状況が看過されてきたのだろう。

個人の資産運用をプロに任す方法はファンドだけではない。最近は大手証券会社が提供するラップサービス(投資一任サービス)も人気だ。これは手数料が年間2%〜3%と高額であることがよく批判されている。

しかし、手数料がいくら高くても、それを上回るリターンを出してくれれば投資家に文句は無いわけだから、それは本質的な批判にはならない。一番着目すべきは「運用の質」である。資産運用で一番大事なのは、運用スキルであり、それを判断するために少なくとも過去10年間の運用実績を見なければならない。

では、ラップ口座の過去の運用実績はどれほどのものなのだろうか? 実は、実績は公開されておらず、運用担当者の名前すら非公開なのが現実だ。資産運用を任せたくても、任せる理由が見当たらない。

個人投資家が求める高利回りはどこにあるのか?

では、日本の個人投資家はどうすればいいのか?答えは海外である。

日本の銀行や証券会社で買えるファンドは、世界に流通しているファンドのわずか6%に過ぎない(国際投資信託協会)。

世界まで視野を広げれば、過去10年間の年利10%以上のリターンを超す優秀ファンドが存在している。

資産運用の目的は資産を殖やすことに尽きる。そして将来は誰にとっても不確実だ。であれば、過去実績のある世界ランキング上位の優秀ファンドを活用して自分の資産を殖やすのが合理的だと考える。せっかくプロに任せて資産運用をするのであれば、プロの中でも一番うまい人に任せれば後悔は無いというわけだ。

では、世界ランキング上位の優秀ファンドとは何か?それは、海外の著名ヘッジファンドである。ヘッジファンドは一見、ハイリスク・ハイリターンに見られるが、実は、低リスクで高リターンが期待できるアセットクラスで、ハーバード大学年金基金や超富裕層など、金融リテラシーが高い投資家ほど、ヘッジファンドに投資をしている(Mediumの別記事にヘッジファンド概略を書いているのでそちらも参考にして欲しい)

欧米だけでなく、日本でも世界同時株安等に対するリスクヘッジ目的でヘッジファンドを所有する機関投資家が増加している。国内残高は2.2兆円、年間投資額は2,794億円(金融庁/ファンドモニタリング調査2014)。

最近はフィンテックの流れで、個人投資家も投資助言会社の助けをえて、ヘッジファンドに投資できる機会を入手できるようになった。今後、高利回りを求める日本の個人投資家は益々海外ヘッジファンドに投資をしていくだろう。

海外投資が日本を救う

こう話すと、「なんだ、お金持ちだけが海外ヘッジファンドでさらにお金持ちになる話か、自分には関係ない」と思われるかもしれないが、実は多くの人にとって深く関係のある話だ。極論言えば、このような海外投資の促進でしか、日本の社会的課題を解決できない、といっても過言ではない。その理由は以下の通りだ。

いま、日本の社会的な課題はといえば、「日本の財政破たん懸念」と「老後不安」である。

日本は490兆円の債務超過で世界一の借金大国であるにも関わらず、日本は人口減少しているため、借金を返す人が段々いなくなる状況で、時間の経過と共に首が閉まる状況にいる。

他方、日本国民の平均寿命が100歳になると言われており(厚生労働省簡易生命表よりNHK調べ)、その場合、老後の生活資金として1.7億円が必要となる(公益財団法人生命文化センター調べ)。

しかし、日本の財政悪化により、日本の年金健全度は20か国中17位で、中国・メキシコ以下である。このような状況下では年金も期待できないため、日本人の85・8%が老後不安を抱えている。

日本の財政悪化と年金制度の機能不全を前提として、国は国民に自助を推奨し、「貯蓄から投資へ」が国策となっているが、上述の通り、日本には良い金融商品が無く、実に個人投資家の7割が通算成績で損をしているのである。

そこで、個人投資家が海外に目を向け、世界ラインキング上位の優秀ファンドで運用したらどうなるか。例えば、年利10%で10年間運用すると、複利で1億円は2.6億円になる。

このような海外優良資産で資産運用をして儲かる人が増えれば増えるほど、経常収支のプラスになり、国が豊かになる。だからこそ、「GDP(国内総生産)からGNI(国民総所得)へ」と言われ(「経済財政運営と改革の基本方針2014」)、海外投資の促進が国策となっているのである。

私が経営しているヘッジファンドダイレクト株式会社は個人投資家のグローバル化を支援しており、少しでも社会課題の解決に貢献したいと思っている。ただ海外投資を専門とする個人投資家向け投資助言会社としては業界No.1とはいうものの、一部の富裕層や知識層にしか知られていない、まだまだこれからの会社である。ぜひ皆様のご支援を頂ければと思う。